• DOCTOR'S COLUMN
18.09.10|赤ヘル1975

黒田が日本へ帰って来てリーグ優勝をした2016年に紀伊国屋書店でカープの特設コーナーに置いてあったこの小説を手に取り、重松清さんの小説は、元々好きだったので、買ってはみたものの、すっかり忘れていて、しばらく寝かせていた。
本に呼ばれたように、この夏になってから読み始め、一気に・・・・
「赤ヘル1975」は、広島カープの初優勝にまつわる、少年たちの友情と被爆をテーマとした小説です。
タイトルにもなっている1975年は、カープにとって歴史的な年でした。今でこそ、赤がイメージのカープですが、それまでのチームカラーは紺色だったのです。
そんな1975年に中学1年生のマナブが、東京から広島へ引っ越してくるところから物語は始まる。マナブは理由があるのだが、“転校のベテラン”であった。
マナブはすぐに野球少年のヤスや、将来は新聞記者志望のユキオらと仲良くなる。そこでさらに広島の事をよく知ろうとすると、今度は突然「よそモン」は口を出すなと拒絶されたりする。原爆が投下されてまだ30年。その爪痕は当時もあちこちに残っており、少年たちの心にも暗い影を落としていた。父を原爆の後遺症で亡くしていたヤスは、「よそモン」が原爆を安易に語ることを嫌っていたのだ。
マナブはヤスやユキオを通して、ヒロシマの特殊性を徐々に知ることになります。ひとつは原爆。そしてもうひとつが、広島カープ・・・万年最下位の、弱くて、貧乏の弱小球団だが、市民がカープに注ぐ愛と熱意は特別なものがあった。そのカープがこの年、奇跡を起こし始めるのだ。広島で暮らし始めた東京人のマナブは、それまで巨人を応援していたのに、赤い野球帽をかぶるほどのカープファンになります。少年たちは「赤ヘル軍団」の動向に一喜一憂し、それぞれの胸に溜まる青春の”もやもや”を思い切り爆発させていく。哀しくて、切なくて、ちょっと懐かしさを感じる良作でした。
カープファン いやいや、ベイスターズファン、野球ファンなら、ぜひ読んでみていただきたい小説です。また、なぜあんなに野球が好きなのか理解できない!・・・という人にも。
ちなみに井坂少年は1975年当時小学3年生の広島県呉市民で、カープの優勝が決まった後、優勝に湧いて調子に乗った地元商店街のおっちゃん達が鏡開きした日本酒を飲まされそうになりました。(笑)


 
 
 
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